介護現場で働く人の年齢は、実に様々です。介護職の中には、定年後に介護士になることを目指して研修を受け、入職してくる人もいます。
定年前までは会社でも課長クラスの立場にあり、部下に仕事を指導していた人が、定年退職して20代の介護福祉士に指導されているという姿もよく見かけるようになってきました。親子ほどの年齢差があるにも関わらず、介護職の経験がある20代の若者が介護経験なしの60代の新人介護士に指導するわけですから、指導方法に悩む介護士も増えてきています。
年上の新人介護士の指導の難しさで直接することが多い課題は、年上の方のプライドの高さです。長年の社会経験や培ったコミュニケーション力は、まさにその人が生きてきた証であり、それを否定される
ことで感情的になる人もいるほどです。
年齢が違うということは、生きてきた時代背景や価値観も全く違うということですから、一歩離れた視点から指導するということも大切です。
年上の新人介護士の良いところや見習うべきところは、意外と多いものです。
確かに、介護技術や疾患に関する知識はまだ不十分でしょう。
しかし、高齢者との関わり方や、業務に対しての疑問点や着眼点などは、それまで介護業界でしか働いたことのない人にとっては大きな刺激になるはずです。
ずっと同じ仕事をしていると、今いる環境が当たり前になってしまい、問題意識が低下したまま働き続けるという場合も少なくありません。しかし、新しく入社した新人スタッフは細かいところにまで目が届くため、小さな疑問を抱いています。その疑問を摘み取ることが、ひいては介護の質の向上に繋がっていくのです。
つまり、年上の新人介護士がそれまで築いてきた価値観や視点を否定的に捉えるのではなく、そのような視点もあるのだと受け止めることで、現場の介護力を上げていくことが可能なのです。
技術の面で何か指導すべきことがあれば、根拠を述べて説明することで、必ず理解してくれるはずです。
年齢に関わらず、同じ介護職として対等に関係性を築いていくことが、年上の介護士と信頼関係を結ぶために大切なのです。
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