かつては女性の職場だった介護現場も、今では男性が働く姿を見ることも珍しくなくなってきました。
男性は女性よりも力があるという点で、男性を積極的に採用している介護施設もあります。
しかし、介護される側の高齢者にとっては、受け取り方は様々なようです。
女性高齢者の中には、男性介護士と楽しそうに話をする方がいる一方で、男性に介護されることに抵抗を感じる方がいるのも事実です。
そんな中、男性介護士の多くは、少なからず介護拒否を受けた経験があるようです。
男性介護士の悩みの一つとして、介護を拒否された時にどのような対応を取るべきか、ということがあります。
介護される側の高齢者のADLは様々であり、要支援と要介護5では支援内容も全く異なります。
寝たきり高齢者は体交も全介助だったり、ヘッド上排泄の割合も高くなります。
身体を動かす機会が減れば、腸蠕動も低下し、おのずと便秘になりやすくなります。
日中動かないで車いすに座り、テレビを見ることが多いような方は特に、下剤を定期的に投与していることが多い傾向にあります。
排泄行為は、人間が最も羞恥心を感じる行為であるとも言われています。
特に、女性が男性介護士の介助を受けて排泄する時に、介護拒否が起こりやすいということを耳にします。
男性介護士の方は、このような場面でショックを受けたり、自分の無力さを感じて悲観的になる方もいるでしょう。
しかし、悲観的になる必要は全くありません。
介護者の方は、男性介護士の方の人格や介護技術に問題があると考えているわけではなく、羞恥心の問題なのです。
介護する側は毎日行っている排泄介助ですが、高齢者にとってはとてもプライベートな行為の一つです。
自分の子どもにすら見られたくないことを、夫以外の異性に見られるということは、一昔前の女性にとってはとても恥ずかしいことだったのです。
そのような文化的背景を理解していれば、介護を拒否されることに対する受け止め方も変化してくるのではないでしょうか。
介護はチームで行っています。
日中も夜間も、男性介護士だけの勤務になるという施設は少ないでしょう。
もし、そのような施設があるとすれば、それはシフトを管理する側に問題があると考えられます。
しかし、ほとんどの場合は女性介護士と一緒に仕事をしています。
男性ならではの良いところ、女性ならではの良いところを考慮し、それぞれ協力し合うことが必要なのではないでしょうか。
性別による障壁はなかなか取り払えるものではありませんが、その分、自分が得意とする分野で十分カバーすることが出来ます。
悲観的にならず、自分に出来ることを精一杯続けていくことが、介護士として一番大切なことです。